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逢瀬日記

ご主人様との出会いから今迄。 後天性被虐趣味なわたしの手記。

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『口枷』

口枷は、ご主人様が用意したものだった。
中央に穴の開いたボールが通され、
ピンク色のエナメル質の布地が
私の頬の皮膚、顎の骨、黒くしなだれている髪までもをきつく締めつけた。

ご主人様は私に、
しばしばそれをあてがった。
そうするのは、ご主人様のお気に入りの
行為のように思われた。

口枷だけが与えられることもあれば、アイマスクと共に私の感覚器官を抑制する事もあった。


口枷が私を拘束するとき、
私の口は窮屈そうに醜く歪み、
上下に裂き開かれた唇は
めくれあがり、
舌は居場所を失ったかのように
口腔の下方へ押し下げられ、
言葉は何かの罰のように取り上げられた。
唇の端からは行き先を失った透明な涎がだらしなく垂れた。

私はそんなふうにして声を奪われるだけで、
無力な肉の塊に変化したことを自覚せざるを得なかった。
体温のある肉のおもちゃだった。
呼吸の苦しさから、
荒い息がヒューヒューと漏れた。
こんなにも私を醜い存在にして、
それはどのようにご主人様の欲望を満たすのだろうと思った。

ご主人様はただ、私から、あらゆる自由を奪いたいのだと思った。
無力な肉の塊になって、それでも、
ご主人様の存在を求める、
惨めでいやしい非力な奴隷を
心から求めているのかもしれなかった。
そして、その状態を私に見せつけたいのかもしれなかった。
私は鑑賞されている。
射すような視線に身を晒している。
荒い息づかいだけが静かな部屋に響いていた。










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『アネモネ』

「アネモネが見頃ですよ。」

聞き覚えのない声にどきりとした。
隣に居たのは、見知らぬ男性で、
清潔な白い半袖シャツにグレーのスラックスを穿いていた。
30代半ばかと思われた。
くせのないさらりとした黒い髪に、
銀色のフレームの眼鏡が知的な印象を与えた。
風の通りの良い晴れやかな秋の日だった。
植物園の花壇の傍を何気なく歩いていたときに
その声は突然散った花びらのように私に舞い降りてきた。
いつから傍に居たのだろう、
そのように連れ立って歩いていることが
はじめからそうしていたように思われる自然さだった。
「アネモネ、ですか」
何か言葉を返すのが礼儀にかなっている気がして、
慎重に言葉を選んだ。

男性は何か少し考えるふうに手を顎に添えて、囁くように言った。
「アネモネの花言葉を知っていますか」
「いえ」
「幾つかありますが、私が最も好んでいるのは、
「儚い恋」です」
儚い恋、はかないこい、ハカナイコイ・・・
その言葉の音の響きが、とても重要な意味を持ったもののように
思われて、
私はその言葉を紡ぎ出した唇をじっと見つめた。

「温室に行きませんか」と、男性は、
植物園の離れの温室を見つめた。
見知らぬ男性からの誘いに戸惑ったものの、
その声のトーンは、ナンパといった浮ついた感じは無く、
むしろ、そうせざるを得ないような、厳かな、
いたたまれないような気分にさせた。
そしてそれは全く私に不快感を与えないのだった。
私は無言でその男性の後を同じくらいの速度で
ついていった。
私たちに話せるような、共通したなにかは
ひとつとして無いように思われた。

その小さな温室にひと気はなく、
周囲は木陰で薄暗かった。
正確に管理された温度と湿度の中、
ミニバラや、カトレアやデンファレが
小ぶりな鉢に、それぞれ思い思いの花を
鮮やかな色で咲かせていた。
きれいですね、とか、よく咲いていますね、とか、
何か話そうかと思ったけれど、
この不思議な空気を壊しそうで、
結局何も言えずにただ花びらを見つめていた。
そうするほかなかった。

男性は手にしていた鞄から、
黒く染めた麻縄の束を静かに取り出した。
男性の手元を見つめて、私は、
これから何かが始まるのかもしれないと思ったけれど、
それに対して恐怖感や拒否感のようなものは一切なく、
この状況を自分が受け入れていることが
不思議で仕方無かった。

男性は、ひとことも洩らさないまま、
私の背後に立ち、胸にロープを添わせた。
乳房の上側の付け根と、下側の付け根に
平行に縄を張り、きゅっと締めつけ、
息つく間もなく、私の身体から自由を奪った。
それはあまりにも、手慣れていて、
その行為に特別な事象という印象を与えなかった。
勿論、私はこのように見知らぬ男性についていくことも、
縛られたりすることも初めての経験だったけれど、
演劇のシナリオみたいに、
あらかじめそうするように決められていたかのようで、
また、迷いが一切感じられない彼の手さばきは
私に疑問や戸惑いを与えなかった。
私は縛られる者という役割を理解しようと努力し、
また、締められる感覚に没頭した。
縛られて、立ちすくんだまま、
こちらを見ているように咲くカトレアを見つめた。
後ろにきつく固定された手は、
むしろはじめからそこにあって、
本来の場所にもどったかのように錯覚した。
なぜか少し懐かしいような感じがした。
彼の思う形に私は造形され、
温室の中の花のひとつになった気がした。

どれぐらいの時間が流れていたのか分からない。
すごく長いような気もするし、
一瞬のことのようにも思える。
縄は、私の身体を締めつけていたことを忘れたように
わずかな時間で解かれ、
だらりと力なくしなだれ、その意思を失った。
しゅるしゅると纏められ、
再び男性の手に、束として収まった。

突然、先程の、はかないこい、という声色が
頭の中で再生された。
手が、自由になるのがぎこちない気持ちのまま、
彼に声をかけた。
「アネモネ、お好きなんですか?」
彼は、私がそこに居ることに、
先程まで彼自身が縛っていたということに、
特に何の感情も持ちあわせていないという感じの口調で答えた。
「特に好きというわけではありません。
アネモネは、キンポウゲ科に属していて、
同じキンポウゲ科にはトリカブトもあるんですよ」
「トリカブト・・・」
「毒のある花はとても綺麗です」
「はい」
「君の持つ毒の味を知りたい」
彼は耳に唇を近付け、そう言葉を洩らした。

私は、温室を出る彼の後を追った。













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『黒い網目』

黒い網目が白い肌にくっきりと、なまなましかった。
指を這わせると、
黒い縒った糸の感触と、凹凸になっている素肌の
滑らかさと、繊維の抵抗の対比がより感じられた。
思うまま、そのネットを引き裂いて、
白い肌を鷲掴みにして、
紅い爪跡を、
証のように残したかった。

全身をいやらしく覆う網目は、覗かせる。
その隙間から、
薄紅に染まった小ぶりな真珠のような乳頭。
その感触を確かめたくなる。
捏ねまわして、その薄紅が、どのように紅みを帯びるのか、
見つめていたい。
途切れそうなその声を、何度も上げさせたい。

細い首筋、
それに噛みつきたい。
ドラキュラ伯爵は知っていたのかもしれない、
そこが甘美な部位だと、
歯を立てて、
歯型がくっきり残るのは、
私が残した証。
私のものだという証。
その跡をふちどる、肌が紅さす様子もまた、美しいだろう。

耳、それに舌をねじ込みたい。
複雑な形をしているのは、
そこにおびき寄せるためか。
すべてのお前の空洞を満たしたい。
私で。

奪いたい、
何もかも、
今も。












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『口紅』

左手に持った手鏡に素肌を映す。
化粧水と乳液で肌を整え、
薄いベージュの下地を薄くのばす。

液状のファンデーションを、さらに薄く重ね、
それが少し乾いたころ、
太い筆で、そっと撫でる様に、
チークで頬の高みにぽっ、と薄い桜色をのせる。

長く黒い睫毛を、ビューラで挟み、
きれいなカーブをつくる。
マスカラで1本1本の睫毛をコーティングしていく。
どんどん吸引力をもつ目もと。
伏し目にしたとき、きっと繊細な影を落とすことでしょう。
細い筆を手に取り、目のふちをかたどる。
うすいピンクベージュのシャドウを重ね、
その細かいパールは瞳にきらきらと反射して光る。

眉をうすくなぞる。
薄すぎず、濃すぎない眉には知性が宿る。

フェイスパウダーで、肌の仕上げを。
つるりとして、つやのある肌の完成。
触れたくなる、ような。

最後に口元を彩る。
肉感的な、ぷるりとした唇を、
ライナーでなぞる。
上唇の形は、猫の耳のようにつんと尖る。
下唇は、月の弧のようにまろやかにカーブする。
リップクリームで整えると、
その弾力は増すようだ。
筆で、紅をのせていく。
薔薇の花びらのようなピンク。
グロスを中央だけに重ねて、光を集める。

触れるのを待っている。
あの唇に







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『サカナ』

雨が降っている。
静かに降り続いている。
ふと、水族館へ行きたいと思う。
降り続く雨の街から、すいと泳いで、
水族館という水槽に囲われたい。
その中では、息をしている私が
魚たちに見つめられているのか、
魚たちを私が見つめているのか、
曖昧になる。

一匹の魚のなかに私を見る。
しなやかに尾びれを振って
水をきる。
やわらかく泳ぐそれは
シーツの海で泳ぐ私だ。
色鮮やかな刺繍のランジェリーを身に纏い、
レェスの裾が、はかなく揺れる。

快楽の海を泳ぐ。
深く深く潜る。
息を忘れた苦しみに、
喘ぎ声を漏らすと、
太く硬い指が私を掬いあげる。










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『白磁のお皿』

君の肌は白磁の陶器だ。
ほの紅く染まる節々の桜色は
陶器を彩る美しき模様だ。

横たえたその陶器に
何を盛りつけようか?
生クリーム?
蜂蜜?
チョコレートソースもいいかもしれないね。
バターやクリームチーズもいいかも。

ほら、お皿は動いてはいけないよ。
手を後ろに回しなさい。
勝手に動かないようにこうしていて上げる。
食い込むロープもまた美しい。
ね。もう動けないだろう?
動かないで、僕だけのお皿。

控えめな胸のふくらみ、
より赤みをもって誇らしげに隆起する、
その先端のとがりは、
摘んでくださいと懇願しているようだ。

顔を背ける彼女の、
頬にかかる黒髪をそっと手にとり、
耳にかけてやる。
耳の淵をぺろりと舐め上げると、
白磁のお皿は切なげな息を漏らす。

鎖骨の窪みには何を注ごうか。
シャンパーニュを舐めるのもまた乙なものだろう。
愛らしい臍のくぼみにも舌を這わそうか。
やわらかにたわみ、
僕の欲望を受け止めるお皿。

ほら、その唇には?
唇のふくらみを唇で味わう。
少し尖った顎の輪郭をなぞってゆき、
閉じた瞼に口づける。

白磁のお皿と僕の晩餐会。











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『ピアス(A)』

奴隷にした日にピアスを開けるよう命令をした。
そして、それは僕の手によって行われる。
何の変哲もない、
ごくふつうの、
耳たぶへのピアスだ。

深夜のカラオケBOXで、
僕は、
雑貨店で購入した、
ピアッサーで、
僕が女の耳に添わせるように器具を宛てがい、
その穴をあけた。

女は、ピアスを開けるのが初めての体験だったようだ。
女は、目を閉じて、
ピアッサーの針の貫く痛みに耐えた。
その、まぶたをきつく閉じる様子、
くいしばる唇、
背ける顔は、
痛みに耐える様子は、
いたく僕を興奮させた。

僕は、僕の与える以外のピアスを装着することを禁じた。

女の耳たぶは、その女の持ち物でありながら、
同時に僕の持ち物でもあった。
その周辺を小まめに消毒してやるのも、
僕の愉しみでもあった。

ファーストピアスが外れる頃、
僕は奴隷に対して、ピアスを、
気が向くままにいくつか与えた。
どれも、奴隷を想い浮かべて選んだ、
奴隷にとても映え、似合うものだった。

深い群青色の、丸い石の嵌ったピアス。
薄い水色の、きらきらと光る石の揺れるようなピアス。
金色の、鎖が垂れるようなピアス。

奴隷は、そのどれもを悦んで装着した。

その耳たぶを目にするたび、
この耳は僕だけのものだと思う。
このピアスを身につける限り、
僕の手が及んでいる存在だと感じ、
それだけで、
なんとも言えない充足が僕を満たす。










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